粉体シミュレーションで用いる液架橋力モデルとは?

粉へはたらく力

実際に粉体を扱うような体系としては流体が大きく効いてくるものも多いと思います。空気により搬送する、液体に中で撹拌する等、挙げ始めたらキリがありません。付着力についても同様で、粉体に液体を滴下していくような粉体が濡れている体系においては【液架橋力】という付着力が影響してきます。そこで、液体の影響の一つである付着力、【液架橋力】がどういったものなのかについて解説していこうと思います!

液架橋力とは

液架橋力とは付着力の一つであり、粒子間が液体でつながれた時にはたらく力です。この力の大きさを決める要因としては表面張力、ラプラス圧というものになり、これらの足し合わせで表現することができます。つまり、液架橋力を理解する上で表面張力とラプラス圧の理解が必要ということなのです。それではこれら二つの力についてさらに詳しく解説していきます。

粉体シミュレーションでの液架橋力は粒子間で液体が架橋を作った際に粒子同士が引き合う力です。

液架橋力に関連する2つの力

表面張力

コップに並々と水を入れたとき、表面が盛り上がる形でこぼれないような現象を見たことがある方も多いのではないでしょうか。この時に働いている力が表面張力です。表面張力とは、液体と気体の境界面に働く、表面積が小さくなるように縮まろうとする力です。この力は分子間力により起こる力であり、対象とする物質により決まる値となっています。

コップに入った水の例を考えてみます。まず、液体内では分子間力により分子同士が引っ張り合っている状態です。したがって、内部の水分子はすべての方向から引っ張られている状態なので、つりあった状態となります。対して表面の水分子を考えると、水内部には引っ張られますが、気体側への引っ張る力はとても弱い状態となります。その結果、コップの淵から盛り上がった状態でも零れ落ちない状態となるのです。言い換えると、表面が縮もうとしている状態と言えるかと思います。この力が表面張力となります。

今回はコップの例で見ていきましたが、表面が存在する体系においては常に働いている力となります。したがって、液体によって粒子がつながっている液架橋の状態についても液体表面に表面張力が働いているということになります。

粉体シミュレーションでの液架橋力は表面張力とラプラス圧で構成される。表面張力は表面積を小さくするために働く力。

ラプラス圧

ラプラス圧とは液体表面の曲率に応じて生じる、液体内部と外部の圧力差です。外部の圧力は大気圧である条件が多く固定値として考えることが多いので、圧力差を求めることで内部圧力を求めることになります。このラプラス圧は表面張力に起因する力ではありますが、液体表面ではなく液体内部での力となります。力の大きさとしては、曲率が小さい、つまり曲面を作る円の半径が大きいほど圧力差が小さくなり、曲率が大きい、つまり曲面を作る円の半径が小さいほど圧力が大きくなります。

式の形としては以下のようになります。

粉体シミュレーションでの液架橋力は表面張力とラプラス圧で構成される。ラプラス圧の式。

表面に沿った曲線を円で描いた時の半径を曲率半径といい、互いに直交する面で曲率半径を取ったものをR_1、R_2としています。この関係式から、表面張力が大きいと圧力差が大きくなり、表面の曲率が大きい(曲率半径が小さい)場合に圧力差が大きくなります。

粉体シミュレーションでの液架橋力は表面張力とラプラス圧で構成される。ラプラス圧は液体表面の曲率に応じて生じる液体内部と外部の圧力差。

粒子への作用

実際に粒子間が液体でつながれた時、液架橋力としてはどのような力になるのでしょうか。 液架橋力に関連する力はそれぞれ、表面張力は表面が縮もうとする力であり液体表面にはたらく力、ラプラス圧は表面形状により大きさが決まる液体内部での力というものでした。これらの特徴を考慮した上で液体から粒子へはたらく力として考えると、【液体と粒子の接触している部分のエッジでは表面張力がはたらき、接触面ではラプラス圧がはたらく】ということになります。

粉体シミュレーションで粒子間に働く液架橋力は表面張力とラプラス圧の足し合わせ。

従って、それぞれの力がはたらいている領域が異なるため、二つの力の足し合わせで液架橋力が表現できるということになります。

ちょこっとメモ:液架橋モデルと液量

今回お話した液架橋モデルについて、液体量が約20%以下までという特定の条件の時に成り立つものになります。なぜこのような制約があるのかというと、粉体間の液体の形、構造が原因となります。今回の液架橋力のモデルでは、粉体が1対1でつながるような体系での力となります。実際の体系を考えると、液体の量が多くなると3つ以上の粒子が液体でつながれる構造となったり、さらに多くなると粒子の間隔すべてに液体が存在する構造となったりします。

従って、液量が少ない状態でなければ今回のモデルで想定している液体の形や力を適用できないということです。

今回お話した液架橋モデルはペンデュラー域の時に成り立つ。液量が多いファニキュラー、キャピラリー、スラリー域では成り立たない。

さいごに

今回は液架橋力について解説しました。液架橋力は液体表面ではたらく表面張力と液体内部の圧力をあらわすラプラス圧の足し合わせであるというものでした。

弊社構造計画研究所は「現場のエンジニアが、実用的な時間で、精度の高い解析結果を得ること」を重視し、粉体シミュレーションソフトiGRAF(アイグラフ)の開発・販売を行っております。
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とはいえ、研究開発の内容によっては「液架橋力やファンデルワールス力ではなくて静電気力による付着を考えたい」といったケースもあるかと思います。

そのような高度なシミュレーションが必要な場合も、ぜひ弊社にご相談ください。
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粉体シミュレーションで用いるファンデルワールス力モデルとは?

粉へはたらく力

前回は粉のシミュレーション手法(DEM : Distinct element method)で考慮するはたらく力、その中でも接触力についてご紹介しました。接触力は【法線方向】の接触力と【接線方向】の接触力を合わせた力でした。また法線方向・接線方向それぞれで粒子の重なり量により計算される【静的接触力】と速度差により計算される【動的接触力】に分けて考えられていました。つまり、法線方向・接線方向の2パターンと静的・動的の2パターンの掛け合わせ、計4パターンの力を合わせたものが接触力として計算されていました。
粉の挙動を考えるときには接触力以外にも考えるべき力があります。中でも粉同士や粉と壁の間でお互いに力を及ぼしあい、付着しようとする【付着力】は粉を扱う上で重要な要素の一つだと思います。今回と次回の2回で付着力について解説していこうと思います。今回は、そんな付着力の中でも【ファンデルワールス力】に焦点を当てて解説していきます!

ファンデルワールス力

ファンデルワールス力は付着力の一つで、原子や分子間に生じる力です。原子や分子内の電気的な偏り(電気双極子)に起因した力となるため、粒子間に常にはたらく力です。

ファンデルワールス力の大きさ

ファンデルワールス力の大きさとしては以下のような形であらわされています。

粉体シミュレーションで用いられるファンデルワールス力の式

ここで単位ベクトルというものが入っていますが、これは方向を示すものであり大きさには関与しません。したがって、ファンデルワールス力の大きさは【粒子径】・【粒子表面間距離】および【ハマカー定数】により決まるということが分かります。

ファンデルワールス力は粒子の表面間の距離、粒子の大きさ、ハマカー係数によって決まります。

このような形で計算されるファンデルワールス力は実際にどの程度の力なのでしょうか。他の力と大きさを比較したグラフ(*)を以下に示します。

横軸に粒子径、縦軸に付着力をプロットしたグラフ。

このグラフから、1μm程度より小さい粒子についてはファンデルワールス力や液架橋力の影響が大きく、対して大きい粒子ではクーロン力等の電気的な力の影響が大きいことが分かります。このように、ファンデルワールス力は10-6 m(マイクロメートル)や10-9 m(ナノメートル)程度の小さな粒子を対象とするときに考慮するべき力、大きな粒子を対象とするときには影響が小さいので考慮しなくてもいい力ということになります。

また、今回ファンデルワールス力の式の導出については省略していますが、概要としては
1原子・分子に着目して電気的な偏りによる力を求める
2粉粒体を構成する体積分だけ足し合わせる
という方法により求められています。ご興味がありましたら検索してみてください。

ハマカー定数

ファンデルワールス力を求めるための3要素のうち、粒子径と粒子表面間距離はイメージしやすいと思います。では、残りの一つ、ハマカー定数とは何なのか?

ハマカー定数とはファンデルワールス力の大きさを特徴づける値であり、物体の組成や表面状態、形状により決定する値です。したがって、一概にハマカー定数の値を決定することはできないのですが、一般的には10-21~10-19の値となることが多いです。参考として材料ごとの目安の値を表にまとめました(化学工学便覧より)。

ファンデルワールス力を決定するハマカー定数の目安の値(化学工学便覧より)

ちょこっとメモ:ヤモリが壁に張り付く力は?

民家の周辺に生息しているヤモリ。皆さんもどこかでヤモリを見たことがあるのではないでしょうか。彼らを見たとき、壁や天井に張り付いていませんでしたか? 実はヤモリが壁や天井に張り付くことができる要因もファンデルワールス力なのです。ヤモリの足先には細かい毛のようなものが生えており、その毛と壁との間のファンデルワールス力により張り付いています。

「毛で張り付く?」と思う方も多いと思いますが、そこはファンデルワールス力の性質を踏まえて考えてみようと思います。ヤモリの足先の毛は10-6 m(マイクロメートル)程度であり、さらにその先端は10-9 m(ナノメートル)程度の太さに枝分かれしているそうです。解説の中でもお話した通り、ファンデルワールス力は働くものが小さいほど大きな影響を及ぼすことから、細かい毛によりファンデルワールス力の影響が大きくなります。それに加えて力がはたらく点が多く存在しているということから壁に張り付くことができているのです。

ヤモリも足先の毛のファンデルワールス力で実は壁に引っ付いています。

さいごに

今回は付着力の中でもファンデルワールス力について解説しました。ファンデルワールス力は10-6 m(マイクロメートル)や10-9 m(ナノメートル)程度の小さな粒子を対象とするときに考慮するべき力であり、周囲環境や粒子の表面状態によってハマカー定数が決定されるというものでした。

弊社構造計画研究所は「現場のエンジニアが、実用的な時間で、精度の高い解析結果を得ること」を重視し、粉体シミュレーションソフトiGRAF(アイグラフ)の開発・販売を行っております。
そのため、iGRAF上では、ハマカー定数を決定するだけで、付着力(ファンデルワールス力)モデルを用いた粉体シミュレーションを簡単に行うことができます。もちろん、シミュレーションを触ったことがない、という方でも簡単に付着力モデルを用いた粉体シミュレーションが可能です。

とはいえ、研究開発の内容によっては「ファンデルワールス力ではなくて静電気力による付着を考えたい」といったケースもあるかと思います。

そのような高度なシミュレーションが必要な場合も、ぜひ弊社にご相談ください。
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[参考資料]
(*)増田、「粉体粒子の付着力・凝集力」、電子写真学会誌 第36巻 第3号(1997) https://www.jstage.jst.go.jp/article/isjepj/36/3/36_3_169/_pdf

粉体シミュレーション(離散要素法)での接触力の考え方について

前回は粉のシミュレーション手法DEMで扱う粉の運動についてご紹介しました。このシミュレーション手法において粉の運動は並進運動と回転運動の組み合わせであらわされており、それぞれの運動の式も【動きにくさ】、【加速度】、【はたらく力】であらわされるようなとてもシンプルな形で表現されていることが分かりました。
 粉の運動を考える場合、多くの力を考慮しなければなりません。つまり運動の式中の「はたらく力の項」として考える要因が多いということです。考えられる力として、「重力」や粉同士の「付着力」、流体を考慮する時は「流体抗力」等、挙げだしたらキリがありません。
多くの要因の中でも、粉同士の【接触力】は必ずと言っていいほど考慮するものであり、DEMの計算の特徴的な部分でもあります。

そこで、今回は粉にはたらく力の中でも特に重要な接触することにより生じる力【接触力】に注目してご紹介していこうと思います。

接触力

接触力は二つに分けて考えることができます。接触した面に対して法線な方向に働く【法線方向】の接触力、接触した方向に対して接線な方向に働く【接線方向】の接触力を合わせて接触力として扱います。それぞれの力の方向として、法線方向の力は粒子の中心同士を結んだ線上で作用する力、接線方向の力は粒子間に紙を挟んだ時その紙の面上で作用する力といったイメージでしょうか。

粉体シミュレーションで用いられる粒子同士の接触力は法線方向と接線方向の2方向の力の組み合わせです。

それぞれの方向の接触力についてさらに詳しく紹介します!

粉体シミュレーションで計算される接触力は法線方向の接触力と接線方向の接触力の合力になります。

法線方向接触力

接触面に対して法線方向の接触力は粒子同士の位置から決まる【静的】な法線方向接触力と粒子同士の速度差から決まる【動的】な法線方向接触力に分けることができます。

粉体シミュレーションで計算される法線方向の接触力には静的な接触力と動的な接触力があります。

静的な法線方向接触力

DEMの計算で考える粒子の特徴として、重なりについては特に制限されていないことが挙げられます。壁や粒子同士で重なりが発生することが許されている体系になっている体系となっているのですが、この理由は接触力を計算するうえで重なり量を活用しているからです。

法線方向の接触力の中でも静的な成分については、粒子の重なりに応じて力が計算されます。重なりが大きいほど大きな力で反発するような性質となっています。

粉体シミュレーションでの法線方向の静的な接触力は粒子同士の干渉量に応じて計算されます。粒子同士の干渉量が大きいほど大きな力で反発しあいます。

動的な法線方向接触力

法線方向の接触力の中でも動的な成分については粒子の速度差に応じて力が計算されます。速度差が大きいほど粒子に対して大きな力がはたらくような性質となっています。

また、速度差を考えていますので、自分が相手の粒子よりも速いのか遅いのかによっても力の方向が変わってきます。

粉体シミュレーションでの法線方向の動的な接触力は粒子同士の法線方向の速度差に応じて計算されます。

接線方向接触力

接触面に対して接線な方向の接触力についても法線方向の力の考え方と同様の考え方で成り立っており、粒子同士の位置から決まる【静的】な接線方向接触力と粒子同士の速度差から決まる【動的】な接線方向接触力に分けることができます。

粉体シミュレーションで計算される接線方向の接触力には静的な接触力と動的な接触力があります。

静的な接線方向接触力

接線方向の接触力の中でも静的な成分については、粒子の接触点の移動距離に応じて力が計算されます。この移動距離が大きいほど大きな力で反発するような性質となっています。

粉体シミュレーションでの接線方向の静的な接触力は粒子の接触点の移動距離に応じて力が計算されます。

動的な接線方向接触力

接線方向の接触力の中でも動的な成分については法線方向の考え方とほぼ同様で、粒子の速度差に応じて力が計算されます。速度差が大きいほど粒子に対して大きな力がはたらくような性質となっています。ただし、考慮する速度の方向が異なっています。法線方向の動的接触力と接線方向の動的接触力それぞれにおいて力の方向の速度を基に計算を行っています。

粉体シミュレーションでの接線方向の動的な接触力は粒子の接戦方向の速度差に応じて力が計算されます。

まとめ

粉体シミュレーションので計算される粒子同士の接触力はまず力の方向(法線方向・接線方向)に分けられます。
各力の方向で動的な接触力と静的な接触力がございます。

実際に粉体シミュレーションソフトを操作して解析を行う際にはソフト側で粉体粒子同士の接触の判定や接触力を自動計算してくれます。

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【ちょこっとメモ:滑りが生じるときの接線方向接触力】

今回の紹介の中では接線接触力を考慮する中で、粒子同士がこすれるような【滑り】状態は考えていませんでした。もし滑りを考慮する場合はどのような方法で接線方向接触力を計算するのでしょうか?

滑りが生じている場合、粒子間の摩擦力を接線方向接触力として計算します。つまり、すべりが生じる前後で用いている式が変化するということです。滑り前後では現象としても異なっているので挙動を表現する式が変わっているという自然な考え方だと思います。

粉体シミュレーションで粒子同士の滑りが生じる時の接線方向の接触力はこのような式で計算されます。

DEM(離散要素法)を用いた粉のシミュレーション

粉のシミュレーションは粒子一つ一つの集団運動を解くということ

【はじめに:DEMとは?】

近年、様々な分野でシミュレーションが行われることが増えてきました。 その中で、本シリーズでは粉のシミュレーションについて詳しく紹介していきたいと思います。

粉のシミュレーション方法の中で、離散要素法【discrete element method:DEM】は世界的に広く用いられている手法の一つです。 DEMの考え方はとてもシンプルで、粒子一粒の動きを模擬することでその集合体である粉全体の挙動を表現するというものです。したがって、計算は粒子一つひとつの動きに対して行われています。

粉体シミュレーションでは粒子一つ一つの集団運動を計算します。

ということで、今回はDEMで考慮されている一つの粒子の動きに焦点を当てて解説していきたいと思います。

【粉の動き】

粉の動きは「並進運動」と「回転運動」の2つに分けられます。 反対に、粉の動きはこの2つの運動の組み合わせのみであらわすことができます。

粉体シミュレーションでは粉体を構成する一粒一粒に対して並進運動と回転運動を解きます。

並進運動

並進運動は以下のような形であらわされます。

粉体シミュレーションで計算する1粒子に対する並進運動の式は高校で習った運動方程式です。

はたらく力(力の項の内容)は「重力」、粉同士の「接触力」、「付着力」、流体を考慮する時は「流体抗力」等の様々な力を考慮しますが、扱う力の種類が増えた場合でも右辺に足しあわされるのみで、式の形が大きく変化するわけではありません。

回転運動

回転運動は以下のような形であらわされます。

粉体シミュレーションで計算する1粒子に対する回転運動の式は回転運動方程式です。

はたらく力は「接触トルク」や「回転抵抗トルク」等を考慮しますが、並進運動と同様に右辺に足しあわされる形で表現し、式の形は大きく変化しません。

【ちょこっとメモ:本当に並進運動と回転運動だけ?】

実際の粉体プロセスの中では粉体の「変形」も含まれます。圧粉プロセスや粉砕プロセスで必要となる粒子の動きとなりますが、DEMにおいては粒子が変形しない「剛体粒子」が仮定されているため、並進と回転のみを考慮するものとなっています。

実際の現象では粉体1粒子の変形や分割がありますが、粉体シミュレーションでは1粒子が変形しない剛体粒子が仮定されています。

一方で最近の粉体シミュレーションではBonded Particle Model(BPM)という手法を用いると1粒子の変形や分割を考えることができるようになってまいりました。

Bonded Particle Modelとは主に岩石やコンクリートなどの脆性材料(もろい材料)の力学的挙動をシミュレーションするために用いられる手法です。離散要素法(DEM: Discrete Element Method)の一種で、微小な粒子同士を「接着(Bond)」させることで、一つの固体を表現します。

この手法は実挙動を再現するうえで非常に強力な手法ではありますが、粉体の1粒子を表現するために複数粒子を用いるこの手法では粒子数が膨大になり、計算コストが非常に高くなってしまいます。このように、微細な変形まで追おうとすると膨大な計算時間が必要になりますが、多くの産業プロセスにおいて重要なのは、「粉体全体の流れや、実用的な時間内でのシミュレーション結果」ではないでしょうか。

弊社構造計画研究所では「現場のエンジニアが、実用的な時間で、精度の高い解析結果を得ること」を重視し、粉体シミュレーションソフトiGRAFの開発・販売、粉体のシミュレーションによる解析を行っております。

とはいえ、研究開発の内容によっては「どうしても一粒子の破砕挙動を詳細に見たい」「BPMを用いた特殊な解析が必要だ」というケースもあるかと思います。

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粉体の密度とは何を指す?1次物性の粒子と2次物性の粉体の密度について

粉体の密度について

粒子径と同様に密度も粉体の特徴を決定する重要な物性値となります。密度とは、ご存知の通り、単位体積当たりの質量で定義されます。ただし、粉体の場合には、単に密度と言っても一意に定義することができません。粉体には、大きく分けて2種類の密度があり、1次物性である「粒子の密度」と2次物性である「粉体(粒子の集合体)の密度」です。

粒子の密度

粒子の密度とは、各粒子の質量を各粒子の体積で除算して求められる密度のことです。ただし、粒子には、表面に凹凸があるものや、内部に空孔を含むものが存在するため、粒子体積の定義によって粒子の密度は3種類に分類されます。

真密度

内部の空孔も取り除いて、粒子を形成する物質のみの体積から求めた粒子の密度のことを「真密度」と言います。他の成分が含まれていない純粋な粒子の密度のことになります。測定する際には、内部に空孔が存在しなくなるまで細かく粉砕する必要があります。

粒子密度

粒子密度とは、内部の空孔も粒子の体積として含めて求めた粒子の密度のことです。実際の粒子の体積に比べて内部の空孔分だけ体積を大きく評価するため、真密度に比べて粒子密度は小さい値となります。

見かけ粒子密度

内部の空孔および粒子表面の細孔も粒子の体積として含めた粒子の密度のことです。粒子密度で求めた体積よりも表面の細孔分だけ大きく評価されるため、粒子密度よりも見かけ粒子密度は小さい値となります。

粒子の密度には親密度と粒子密度、見かけ粒子密度があります。

粉体の密度

 粉体の密度は、容積が分かっている容器に粉体を充填して、充填された粉体の質量により求められる密度のことで、「かさ密度」と呼ばれます。かさ密度は、充填された粉体間には多くの隙間が存在しているため、粒子の密度に比べて小さい値になります。また、充填方法によって「ゆるみかさ密度」と「かためかさ密度」の2種類に分けて測定されます。

ゆるみ(ゆるめ)かさ密度

容器内へ粉体を静かに充填した状態で計測したかさ密度を「ゆるみ(ゆるめ)かさ密度」と言います。静かに充填された粉体間には、多くの隙間が存在している状態となります。

固めかさ(タップ)密度

粉体が静かに充填された容器に一定の振動を与えることで粉体間の隙間を埋めて、再充填した後に測定したかさ密度を「かためかさ(タップ)密度」と言います。粉体間の隙間は、粒子形状による幾何的な要因や、付着力などの表面特性による要因により発生します。

圧縮度

圧縮度とは、固めかさ密度とゆるみかさ密度の変化の割合で定義される粉体の特性を表す二次物性です。圧縮度が高いと流動性が悪く、圧縮度が低いと流動性がよい状態を表します。

粉体の密度は、「かさ密度」と呼ばれます。かさ密度は、充填方法によって「ゆるみかさ密度」と「かためかさ密度」の2種類に分けて測定されます。

粉体シミュレーションで扱う粉体密度

ここまで、さまざまな粉体物性について解説してまいりました。実際に粉体シミュレーションを行う際、物性値として一般的に用いられるのは粒子の「真密度」です。では、現実の粉体物性をどのようにシミュレーションへ落とし込むのでしょうか。その基本的な流れは以下の通りです。

まずは物理量の確定です。実験で使用する粉体の「全質量」と、1粒子あたりの「粒子径」を決定します。
※粒子径には、粒度分布の代表値であるD50(メディアン径)を採用するのが一般的です。

その次に粒子数の算出を行います。全質量、真密度、および粒子径から、解析空間内に配置すべき「粒子の個数」を算出します。この粒子の真密度、粒子径、粒子数が決まることで、粉体シミュレーションが可能になります。

こうした複雑な計算や物性設定をスムーズに行い、粉体の挙動を現場で手早く可視化するのが、弊社構造計画研究所で開発・販売している粉体シミュレーションソフト「iGRAF」です。

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