粉体シミュレーションでは粒子の接触判定が重要!

はたらく力と粒子の接触

はたらく力は基本的には粒子間や粒子―壁面間のように2つの物体間で考えられるものであり、接触しているかどうかで考える力が変わります。

では、接触しているかどうかはどのように判定しているのでしょうか。もし愚直に全粒子に対して判定を行っていると、膨大な数の判定が必要になりそうです…そこで今回は接触判定の方法・工夫点、さらに接触判定と計算時間の関連性について解説していきます!

そもそも接触判定とは?

接触判定とは、「ある粒子が別の粒子(または壁面)と触れているかどうか」をコンピューター上で確認する処理のことです。
粉体シミュレーションでは、粒子にはたらく力を正しく計算するために、粒子同士が接触しているかどうかを常に把握しておく必要があります。粒子が接触していれば反発力や摩擦力が生まれ、接触していなければそれらの力は生じないからです。そのため、接触判定は粉体シミュレーション(DEM:離散要素法)を行う上で非常に重要になってきます。

この判定を行うには、粒子間の距離を測り、その距離が「2つの粒子の半径の合計より小さいかどうか」を確認するのが基本です。距離が半径の合計以下であれば、2つの粒子は接触していると判断できます。

接触判定をする接触判定格子

しかし、全粒子に対して距離を測定し、接触しているかの判定を行うと膨大な判定回数となってしまい、これが結果的に計算負荷が上がることにつながります。

全粒子との接触判定を行うと判定回数が膨大に

そこで、接触判定回数を少なくする方法として、接触判定格子を用います。
この方法は、あらかじめ計算領域内に格子(マス目)を配置し、互いに隣接した格子内に存在する粒子同士に対してのみ判定を行うというものです。遠く離れた格子にいる粒子は絶対に接触しないため、最初から判定の対象から除外できます。こうすることで、判定回数を大幅に減らすことができます。

この接触判定の部分が計算時間を決める大きな要因となっています。したがって、接触判定格子によって判定回数を減らすことは、計算時間の削減にも直接つながる重要な工夫です。

格子を用いることで接触判定回数を削減できる

粒子径差と接触判定

ここまでは、接触判定を行う回数を減らすために、接触判定格子を用いて接触する可能性が無い粒子をあらかじめ除外するという方法がとられていることを解説しました。しかし、粒子径差がある場合にはそれぞれの粒径により接触する時の粒子間距離が決まるため、除外する範囲も変わってきそうです。では、粒子径差があるときにはどのような判定となっているのでしょうか。

粒子径差がある場合には、大きな粒子の接触判定格子を用いて接触判定を行うという方法をとっています。広い領域を取っておくと接触の見逃しはないという考えのもとの設定となっています。このような設定となっているため、小さい粒子の接触判定を行う上では大きな格子を用いることになります。したがって、格子内に多くの粒子が入ってしまい、接触判定回数が多くなってしまいます。
判定回数が多くなることにより、1粒子の計算時間が長くなります。さらには全体の計算時間が長くなるということにつながってきます。

また、粒子径差が大きければ大きいほど、小さい粒子が格子内に多く入ってしまうので、判定回数が増えていきます。したがって、数値シミュレーションでは粒子径差が大きいほど計算時間が長くなってしまうのです。

粒子径比が大きくなると接触判定格子内に小さい粒子が入ることで判定回数が多くなってしまう

さいごに

今回は粒子の接触判定を行う際に接触判定格子を用いて判定回数を抑える方法について解説しました。
接触判定回数を抑えることが直接的に計算時間に効いてくるので、とても大事な手法となっています。
実際に粉体シミュレーションソフトを操作して解析を行う際にはソフト側で、粉体粒子同士の接触の判定や接触力を自動計算してくれます。

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https://igraf-kke.com/software/

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粉体シミュレーションフリーソフトの特徴と選び方


粉体シミュレーションの世界には、研究機関が開発したオープンソースのツールがいくつか存在します。
これらは無料で使えますが、「無料だから気軽に使える」とはかならずしも言えません。

この記事では、現在利用できる主なフリー/オープンソースツールを網羅的に紹介したうえで、
「それでも有料ソフトが選ばれる理由」と「どういう場合にどちらを選ぶべきか」を整理します。


粉体シミュレーションの主な手法をおさらい

ソフトを比べる前に、まず「何をシミュレーションしているのか」を押さえておきましょう。

粉体シミュレーションでもっともよく使われる手法は DEM(離散要素法、Discrete Element Method) です。
粉の粒子一粒一粒を別々の物体として扱い、粒子どうしの衝突・摩擦・付着などを計算します。

さらに、粉体と気体・液体が絡み合う現象(例:スプレー乾燥、流動層)を扱う場合は DEM-CFD(DEMと流体解析の組み合わせ) が必要になります。

これからご紹介するフリーソフトは主にDEMに対応しており、DEM-CFDはやや高度な組み合わせが必要です。

主なフリー/オープンソースツール一覧

1. LIGGGHTS(ライツ)

もっとも広く使われているオープンソースDEMツールのひとつです。もともとLAMMPSと呼ばれる分子動力学シミュレーションコードを粉体・粒体向けに拡張したものです(*1)。大量の粒子を後続に計算できるという強みがございます。研究論文でも頻繁に引用されており、学術的な信頼性は高いです。

主な特徴

  • 無料・オープンソース
  • OpenFOAMと組み合わせたCFDEM(DEM-CFD連成)も可能

難易度と注意点
操作はすべてコマンドライン(テキストの命令文)で行います。GUIがないため、シミュレーションの設定も結果の確認も、すべてテキストファイルやスクリプトで行う必要があります。また綺麗なグラフィックを表示する機能はないため、可視化には他ソフトが必要です。

向いている人
Linuxの操作に慣れている、プログラミングができる、計算科学や研究が目的

2. OpenFOAM + CFDEMcoupling

概要
OpenFOAMはオープンソースのCFD(流体解析)ソルバーで、これを最初にご紹介したLIGGGHTSと組み合わせた構成です。LIGGGHTS単体では粒子だけのシミュレーションでしたが、これに流体の動きを加えることで、粉体と流体の連成シミュレーション(DEM-CFD)がフリーで実現できます。

主な特徴

  • 無料・オープンソース
  • DEM-CFD連成が可能(気流中の粉体挙動など)
  • 大学・研究機関での採用実績が豊富

難易度と注意点
かなり高度です。OpenFOAMだけでもLinuxの深い知識が必要ですが、LIGGGHTSとの連成設定はさらに複雑です。それぞれのソフトの「特定のバージョン同士」でないと動かないといった互換性の問題があり、セットアップだけで数週間かかることもあります。また、流体メッシュと粒子径のバランスなど、マルチフィジックス特有の理論的知識がないと、計算がすぐに発散(エラー終了)します。

向いている人
CFD・DEMを専門とする研究者、Linux・HPC環境に慣れたエンジニア

「フリーだから気軽に始めよう」と思って挫折する方が多いツールのひとつです。

3. YADE(ヤーデ)

概要
C++とPythonで実装されたオープンソースのDEMフレームワークです。Pythonが書けない方には難しいですが、コマンドで設定を行う先ほどのLIGGGHTSと比較すると、条件設定の柔軟性と拡張性が高いです。

主な特徴

  • 無料・オープンソース
  • Pythonスクリプトでシミュレーションを定義できる柔軟性が高い
  • 粒子生成から計算・後処理まで一体的に扱える

難易度と注意点
シミュレーションの設定をPythonスクリプトで書く必要があります。ドキュメントは英語が中心で、日本語のサポートや情報はほとんどありません。

向いている人
Pythonが書ける研究者、独自の物理モデルを実装したい方

研究の柔軟性は高いですが、業務用途で安定して使うにはPythonのプログラミングスキルが必須です。

4. MercuryDPM(マーキュリーDPM)

概要
オランダのトゥウェンテ(Twente)大学を中心に開発されているオープンソースのDEMフレームワークです(*2)。粉体力学の基礎研究に特化しており、個々の粒子の挙動から、粉体全体の応力や密度を計算・抽出する機能を備えているのが最大の特徴です。

主な特徴

  • 無料・オープンソース(学術利用は無料、ビジネス利用はライセンス確認推奨)
  • 複雑な壁形状や境界条件定義の柔軟性が高い
  • 「統計・平均化(Coarsening)ツール」を内蔵しており、粉体のマクロな物理量を算出しやすい

難易度と注意点
シミュレーションの構築には、C++のプログラミング知識とコンパイル環境が必須です。日本語の情報はほぼ皆無であり、英語のドキュメントや公式フォーラムを自力で読み解く根気が必要です。国内のユーザー数はLIGGGHTSやYADEよりもさらに少ないです。

向いている人
C++が書ける人、英語圏の研究コミュニティと繋がっている研究者、高度な分析を行っている研究者

フリーソフトを使う際の「共通の壁」

上記のツールを見ていくと、フリーソフトには共通した特徴があることに気づきます。

課題具体的な内容
GUIがないほとんどがコマンドラインやスクリプト操作。
直感的な操作画面はない。
日本語情報が少ない英語のドキュメントやフォーラムが中心。
サポートがない困ったときに聞ける窓口がない。
コミュニティへの参加が前提。
環境構築が大変インストールだけで数日~数週間かかることもある。
可視化に別ツールが必要別途可視化ソフトを習得する必要がある。
流体との連成は特に高難度複数ツールの組み合わせが必要で、設定が複雑。
マルチフィジックス特有の知識が必要。

つまり、フリーソフトで粉体シミュレーションをするには、シミュレーションそのものの知識に加えて、Linuxやプログラミングのスキルの習得が必要ということです。

では、有料ソフトは何が違うのか?

有料の粉体シミュレーションソフトは、上記の「共通の壁」をまとめて解決しています。

有料ソフトが提供するもの

  • 直感的なGUI:画面を見ながら直観的に操作できる
  • 日本語サポート(国産ソフト):困ったときに相談できる窓口がある
  • ワンソフトで完結:前処理・計算・可視化がひとつのソフトで完結
  • 検証済みの物理モデル:精度の信頼性が担保されている
  • トレーニング・サポート:使い方を教えてもらえる

フリーソフトと有料ソフトの差は、一言で言えば「計算エンジンの有無」ではなく
普段の業務の中でシミュレーションを回せる環境がすでに整っているかどうか」です。

フリーか有料か——どちらを選ぶべきか?

以下を参考に判断してみてください。

フリーソフトが向いているケース有料ソフトが向いているケース
・大学・研究機関での学術研究が目的
・ Linuxやプログラミング(Python、C++)のスキルがある
・計算コードそのものを改変・拡張したい
・コストをかけられない事情がある
・とにかく「現象・仕組みを理解したい」という目的
・製造業の現場で業務として使いたい
・プログラミングのスキルがない、学ぶ時間がない
・早く結果を出す必要がある
・計算結果の信頼性・再現性が業務上重要
・日本語でのサポートが必要
・DEM-CFDなど複合的な解析をしたい

有料ソフトの選択肢:iGRAF(アイグラフ)とは

ここからは、有料ソフトの選択肢として iGRAF(アイグラフ) を紹介します。
iGRAFは、株式会社構造計画研究所(KKE)が開発・販売する粉体・混相流シミュレーションソフトウェアです。

iGRAFの3つの大きな特徴

iGRAFの三つの特徴。① 実機スケールのシミュレーションを実現② CFDソルバー内蔵によりDEM-CFD連成が簡単に実現③ 使いやすさへのこだわり

① 実機スケールのシミュレーションを実現

実際の製造現場で扱う粒子数は、億から兆のオーダーに達することがほとんどです。iGRAFでは、学術界で検証された「粗視化モデル」を採用することで計算負荷を大幅に軽減。大規模な実機スケールのシミュレーションを実現しています。

② CFDソルバー内蔵によりDEM-CFD連成が簡単に実現

iGRAFの最大の特長のひとつが、CFD(流体解析)のソルバーをソフト内に内蔵している点です。フリーのDEM-CFD環境(LIGGGHTS + OpenFOAM など)では複数ツールの連携が必要ですが、iGRAFではDEMと CFDの連成計算がひとつのソフトでシームレスに実行できます。非ニュートン流体、高粘性流体、自由表面など、流体専用ソフトに遜色ない流体解析機能も備えています。

③ 使いやすさへのこだわり

「これからシミュレーションを始める方にも使いやすい設計を追求している」というのがiGRAFの開発方針です。
具体的には:

  • 推奨値計算機能:ばね定数や時間刻みといった専門的な値の推奨値計算がワンクリックで可能
  • メッシュ不要の形状認識:CAD形状をそのまま扱える
  • 混合度の簡単出力:混合プロセスの評価指標を簡単に取得

iGRAFが選ばれている業界

iGRAFが選ばれている業界

iGRAFは、以下のような幅広い業界・用途で導入されています。

  • 製薬:造粒、混合、打錠、コーティングプロセスの検討
  • 電池材料:電極スラリーの混練・塗工シミュレーション
  • 化学・素材:粉体搬送、ふるい分け、充填の最適化
  • 食品:粉体混合プロセスの均一性評価、空気による搬送プロセスの検討
  • 機械・設備メーカー:ホッパー・フィーダー・ミキサー等の設計支援

粉体シミュレーションの第一人者が技術顧問

iGRAFには、東京大学大学院の酒井幹夫教授が特別技術顧問として参画しています。
酒井先生は粉体・混相流シミュレーション分野の国際的な権威で、粗視化DEMモデルや
DEM-CFD手法の研究をリードしてきた研究者です。学術的に検証された最先端の物理モデルがiGRAFに実装されており、計算結果の信頼性の根拠となっています。

東京大学大学院酒井幹夫教授
東京大学
酒井幹夫教授

フリーか、有料か、よりシミュレーションの
「目的に合っているか」が大事

最後に整理します。
粉体シミュレーションのフリーソフト(LIGGGHTS、YADE、OpenFOAMなど)は、確かに存在します。
コストをかけずにDEMを学べる貴重なリソースです。ただし、それらを使いこなすには相応のスキルと時間が必要で、業務での利用を考えると「無料だから得」とは単純に言えません。

「実際の現場でシミュレーションを業務に使いたい」「日本語サポート込みで安心して使いたい」「DEM-CFDもカバーしたい」という方には、iGRAFのような有料ソフトが現実的な選択肢です。

iGRAFにご興味のある方は下記より資料請求や導入相談をお気軽にどうぞ。

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https://igraf-kke.com/software/
https://www.sbd.jp/products/powder/igraf.html(外部サイトへ)

■無料トライアルのご相談はこちら
https://igraf-kke.com/contact-us/

【参考文献】
YADE 公式ドキュメント
https://yade-dem.org/doc/
MercuryDPM 公式サイト
https://www.mercurydpm.org/
CFDEMcoupling 公式サイト
https://www.cfdem.com/liggghts-open-source-discrete-element-method-particle-simulation-code

粉体シミュレーションで用いる液架橋力モデルとは?

粉へはたらく力

実際に粉体を扱うような体系としては流体が大きく効いてくるものも多いと思います。空気により搬送する、液体に中で撹拌する等、挙げ始めたらキリがありません。付着力についても同様で、粉体に液体を滴下していくような粉体が濡れている体系においては【液架橋力】という付着力が影響してきます。そこで、液体の影響の一つである付着力、【液架橋力】がどういったものなのかについて解説していこうと思います!

液架橋力とは

液架橋力とは付着力の一つであり、粒子間が液体でつながれた時にはたらく力です。この力の大きさを決める要因としては表面張力、ラプラス圧というものになり、これらの足し合わせで表現することができます。つまり、液架橋力を理解する上で表面張力とラプラス圧の理解が必要ということなのです。それではこれら二つの力についてさらに詳しく解説していきます。

粉体シミュレーションでの液架橋力は粒子間で液体が架橋を作った際に粒子同士が引き合う力です。

液架橋力に関連する2つの力

表面張力

コップに並々と水を入れたとき、表面が盛り上がる形でこぼれないような現象を見たことがある方も多いのではないでしょうか。この時に働いている力が表面張力です。表面張力とは、液体と気体の境界面に働く、表面積が小さくなるように縮まろうとする力です。この力は分子間力により起こる力であり、対象とする物質により決まる値となっています。

コップに入った水の例を考えてみます。まず、液体内では分子間力により分子同士が引っ張り合っている状態です。したがって、内部の水分子はすべての方向から引っ張られている状態なので、つりあった状態となります。対して表面の水分子を考えると、水内部には引っ張られますが、気体側への引っ張る力はとても弱い状態となります。その結果、コップの淵から盛り上がった状態でも零れ落ちない状態となるのです。言い換えると、表面が縮もうとしている状態と言えるかと思います。この力が表面張力となります。

今回はコップの例で見ていきましたが、表面が存在する体系においては常に働いている力となります。したがって、液体によって粒子がつながっている液架橋の状態についても液体表面に表面張力が働いているということになります。

粉体シミュレーションでの液架橋力は表面張力とラプラス圧で構成される。表面張力は表面積を小さくするために働く力。

ラプラス圧

ラプラス圧とは液体表面の曲率に応じて生じる、液体内部と外部の圧力差です。外部の圧力は大気圧である条件が多く固定値として考えることが多いので、圧力差を求めることで内部圧力を求めることになります。このラプラス圧は表面張力に起因する力ではありますが、液体表面ではなく液体内部での力となります。力の大きさとしては、曲率が小さい、つまり曲面を作る円の半径が大きいほど圧力差が小さくなり、曲率が大きい、つまり曲面を作る円の半径が小さいほど圧力が大きくなります。

式の形としては以下のようになります。

粉体シミュレーションでの液架橋力は表面張力とラプラス圧で構成される。ラプラス圧の式。

表面に沿った曲線を円で描いた時の半径を曲率半径といい、互いに直交する面で曲率半径を取ったものをR_1、R_2としています。この関係式から、表面張力が大きいと圧力差が大きくなり、表面の曲率が大きい(曲率半径が小さい)場合に圧力差が大きくなります。

粉体シミュレーションでの液架橋力は表面張力とラプラス圧で構成される。ラプラス圧は液体表面の曲率に応じて生じる液体内部と外部の圧力差。

粒子への作用

実際に粒子間が液体でつながれた時、液架橋力としてはどのような力になるのでしょうか。 液架橋力に関連する力はそれぞれ、表面張力は表面が縮もうとする力であり液体表面にはたらく力、ラプラス圧は表面形状により大きさが決まる液体内部での力というものでした。これらの特徴を考慮した上で液体から粒子へはたらく力として考えると、【液体と粒子の接触している部分のエッジでは表面張力がはたらき、接触面ではラプラス圧がはたらく】ということになります。

粉体シミュレーションで粒子間に働く液架橋力は表面張力とラプラス圧の足し合わせ。

従って、それぞれの力がはたらいている領域が異なるため、二つの力の足し合わせで液架橋力が表現できるということになります。

ちょこっとメモ:液架橋モデルと液量

今回お話した液架橋モデルについて、液体量が約20%以下までという特定の条件の時に成り立つものになります。なぜこのような制約があるのかというと、粉体間の液体の形、構造が原因となります。今回の液架橋力のモデルでは、粉体が1対1でつながるような体系での力となります。実際の体系を考えると、液体の量が多くなると3つ以上の粒子が液体でつながれる構造となったり、さらに多くなると粒子の間隔すべてに液体が存在する構造となったりします。

従って、液量が少ない状態でなければ今回のモデルで想定している液体の形や力を適用できないということです。

今回お話した液架橋モデルはペンデュラー域の時に成り立つ。液量が多いファニキュラー、キャピラリー、スラリー域では成り立たない。

さいごに

今回は液架橋力について解説しました。液架橋力は液体表面ではたらく表面張力と液体内部の圧力をあらわすラプラス圧の足し合わせであるというものでした。

弊社構造計画研究所は「現場のエンジニアが、実用的な時間で、精度の高い解析結果を得ること」を重視し、粉体シミュレーションソフトiGRAF(アイグラフ)の開発・販売を行っております。
そのため、iGRAF上では、付着力(液架橋力)モデルを用いた粉体シミュレーションを簡単に行うことができます。
もちろん、シミュレーションを触ったことがない、という方でも簡単に付着力モデルを用いた粉体シミュレーションが可能です。

とはいえ、研究開発の内容によっては「液架橋力やファンデルワールス力ではなくて静電気力による付着を考えたい」といったケースもあるかと思います。

そのような高度なシミュレーションが必要な場合も、ぜひ弊社にご相談ください。
iGRAFの標準機能には含まれていない機能も、弊社内でのカスタマイズ開発や、専門のコンサルタントによる受託解析サービスを通じて、詳細なシミュレーションを実施することが可能です。

「ソフトを導入して自社で効率的に回したい」というニーズから、「専門性の高い特殊な解析を任せたい」というニーズまで、粉体シミュレーションのプロフェッショナルとして幅広くサポートさせてください。

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粉体シミュレーションで用いるファンデルワールス力モデルとは?

粉へはたらく力

前回は粉のシミュレーション手法(DEM : Distinct element method)で考慮するはたらく力、その中でも接触力についてご紹介しました。接触力は【法線方向】の接触力と【接線方向】の接触力を合わせた力でした。また法線方向・接線方向それぞれで粒子の重なり量により計算される【静的接触力】と速度差により計算される【動的接触力】に分けて考えられていました。つまり、法線方向・接線方向の2パターンと静的・動的の2パターンの掛け合わせ、計4パターンの力を合わせたものが接触力として計算されていました。
粉の挙動を考えるときには接触力以外にも考えるべき力があります。中でも粉同士や粉と壁の間でお互いに力を及ぼしあい、付着しようとする【付着力】は粉を扱う上で重要な要素の一つだと思います。今回と次回の2回で付着力について解説していこうと思います。今回は、そんな付着力の中でも【ファンデルワールス力】に焦点を当てて解説していきます!

ファンデルワールス力

ファンデルワールス力は付着力の一つで、原子や分子間に生じる力です。原子や分子内の電気的な偏り(電気双極子)に起因した力となるため、粒子間に常にはたらく力です。

ファンデルワールス力の大きさ

ファンデルワールス力の大きさとしては以下のような形であらわされています。

粉体シミュレーションで用いられるファンデルワールス力の式

ここで単位ベクトルというものが入っていますが、これは方向を示すものであり大きさには関与しません。したがって、ファンデルワールス力の大きさは【粒子径】・【粒子表面間距離】および【ハマカー定数】により決まるということが分かります。

ファンデルワールス力は粒子の表面間の距離、粒子の大きさ、ハマカー係数によって決まります。

このような形で計算されるファンデルワールス力は実際にどの程度の力なのでしょうか。他の力と大きさを比較したグラフ(*)を以下に示します。

横軸に粒子径、縦軸に付着力をプロットしたグラフ。

このグラフから、1μm程度より小さい粒子についてはファンデルワールス力や液架橋力の影響が大きく、対して大きい粒子ではクーロン力等の電気的な力の影響が大きいことが分かります。このように、ファンデルワールス力は10-6 m(マイクロメートル)や10-9 m(ナノメートル)程度の小さな粒子を対象とするときに考慮するべき力、大きな粒子を対象とするときには影響が小さいので考慮しなくてもいい力ということになります。

また、今回ファンデルワールス力の式の導出については省略していますが、概要としては
1原子・分子に着目して電気的な偏りによる力を求める
2粉粒体を構成する体積分だけ足し合わせる
という方法により求められています。ご興味がありましたら検索してみてください。

ハマカー定数

ファンデルワールス力を求めるための3要素のうち、粒子径と粒子表面間距離はイメージしやすいと思います。では、残りの一つ、ハマカー定数とは何なのか?

ハマカー定数とはファンデルワールス力の大きさを特徴づける値であり、物体の組成や表面状態、形状により決定する値です。したがって、一概にハマカー定数の値を決定することはできないのですが、一般的には10-21~10-19の値となることが多いです。参考として材料ごとの目安の値を表にまとめました(化学工学便覧より)。

ファンデルワールス力を決定するハマカー定数の目安の値(化学工学便覧より)

ちょこっとメモ:ヤモリが壁に張り付く力は?

民家の周辺に生息しているヤモリ。皆さんもどこかでヤモリを見たことがあるのではないでしょうか。彼らを見たとき、壁や天井に張り付いていませんでしたか? 実はヤモリが壁や天井に張り付くことができる要因もファンデルワールス力なのです。ヤモリの足先には細かい毛のようなものが生えており、その毛と壁との間のファンデルワールス力により張り付いています。

「毛で張り付く?」と思う方も多いと思いますが、そこはファンデルワールス力の性質を踏まえて考えてみようと思います。ヤモリの足先の毛は10-6 m(マイクロメートル)程度であり、さらにその先端は10-9 m(ナノメートル)程度の太さに枝分かれしているそうです。解説の中でもお話した通り、ファンデルワールス力は働くものが小さいほど大きな影響を及ぼすことから、細かい毛によりファンデルワールス力の影響が大きくなります。それに加えて力がはたらく点が多く存在しているということから壁に張り付くことができているのです。

ヤモリも足先の毛のファンデルワールス力で実は壁に引っ付いています。

さいごに

今回は付着力の中でもファンデルワールス力について解説しました。ファンデルワールス力は10-6 m(マイクロメートル)や10-9 m(ナノメートル)程度の小さな粒子を対象とするときに考慮するべき力であり、周囲環境や粒子の表面状態によってハマカー定数が決定されるというものでした。

弊社構造計画研究所は「現場のエンジニアが、実用的な時間で、精度の高い解析結果を得ること」を重視し、粉体シミュレーションソフトiGRAF(アイグラフ)の開発・販売を行っております。
そのため、iGRAF上では、ハマカー定数を決定するだけで、付着力(ファンデルワールス力)モデルを用いた粉体シミュレーションを簡単に行うことができます。もちろん、シミュレーションを触ったことがない、という方でも簡単に付着力モデルを用いた粉体シミュレーションが可能です。

とはいえ、研究開発の内容によっては「ファンデルワールス力ではなくて静電気力による付着を考えたい」といったケースもあるかと思います。

そのような高度なシミュレーションが必要な場合も、ぜひ弊社にご相談ください。
iGRAFの標準機能には含まれていない機能も、弊社内でのカスタマイズ開発や、専門のコンサルタントによる受託解析サービスを通じて、詳細なシミュレーションを実施することが可能です。

「ソフトを導入して自社で効率的に回したい」というニーズから、「専門性の高い特殊な解析を任せたい」というニーズまで、粉体シミュレーションのプロフェッショナルとして幅広くサポートさせてください。

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[参考資料]
(*)増田、「粉体粒子の付着力・凝集力」、電子写真学会誌 第36巻 第3号(1997) https://www.jstage.jst.go.jp/article/isjepj/36/3/36_3_169/_pdf

粉体シミュレーション(離散要素法)での接触力の考え方について

前回は粉のシミュレーション手法DEMで扱う粉の運動についてご紹介しました。このシミュレーション手法において粉の運動は並進運動と回転運動の組み合わせであらわされており、それぞれの運動の式も【動きにくさ】、【加速度】、【はたらく力】であらわされるようなとてもシンプルな形で表現されていることが分かりました。
 粉の運動を考える場合、多くの力を考慮しなければなりません。つまり運動の式中の「はたらく力の項」として考える要因が多いということです。考えられる力として、「重力」や粉同士の「付着力」、流体を考慮する時は「流体抗力」等、挙げだしたらキリがありません。
多くの要因の中でも、粉同士の【接触力】は必ずと言っていいほど考慮するものであり、DEMの計算の特徴的な部分でもあります。

そこで、今回は粉にはたらく力の中でも特に重要な接触することにより生じる力【接触力】に注目してご紹介していこうと思います。

接触力

接触力は二つに分けて考えることができます。接触した面に対して法線な方向に働く【法線方向】の接触力、接触した方向に対して接線な方向に働く【接線方向】の接触力を合わせて接触力として扱います。それぞれの力の方向として、法線方向の力は粒子の中心同士を結んだ線上で作用する力、接線方向の力は粒子間に紙を挟んだ時その紙の面上で作用する力といったイメージでしょうか。

粉体シミュレーションで用いられる粒子同士の接触力は法線方向と接線方向の2方向の力の組み合わせです。

それぞれの方向の接触力についてさらに詳しく紹介します!

粉体シミュレーションで計算される接触力は法線方向の接触力と接線方向の接触力の合力になります。

法線方向接触力

接触面に対して法線方向の接触力は粒子同士の位置から決まる【静的】な法線方向接触力と粒子同士の速度差から決まる【動的】な法線方向接触力に分けることができます。

粉体シミュレーションで計算される法線方向の接触力には静的な接触力と動的な接触力があります。

静的な法線方向接触力

DEMの計算で考える粒子の特徴として、重なりについては特に制限されていないことが挙げられます。壁や粒子同士で重なりが発生することが許されている体系になっている体系となっているのですが、この理由は接触力を計算するうえで重なり量を活用しているからです。

法線方向の接触力の中でも静的な成分については、粒子の重なりに応じて力が計算されます。重なりが大きいほど大きな力で反発するような性質となっています。

粉体シミュレーションでの法線方向の静的な接触力は粒子同士の干渉量に応じて計算されます。粒子同士の干渉量が大きいほど大きな力で反発しあいます。

動的な法線方向接触力

法線方向の接触力の中でも動的な成分については粒子の速度差に応じて力が計算されます。速度差が大きいほど粒子に対して大きな力がはたらくような性質となっています。

また、速度差を考えていますので、自分が相手の粒子よりも速いのか遅いのかによっても力の方向が変わってきます。

粉体シミュレーションでの法線方向の動的な接触力は粒子同士の法線方向の速度差に応じて計算されます。

接線方向接触力

接触面に対して接線な方向の接触力についても法線方向の力の考え方と同様の考え方で成り立っており、粒子同士の位置から決まる【静的】な接線方向接触力と粒子同士の速度差から決まる【動的】な接線方向接触力に分けることができます。

粉体シミュレーションで計算される接線方向の接触力には静的な接触力と動的な接触力があります。

静的な接線方向接触力

接線方向の接触力の中でも静的な成分については、粒子の接触点の移動距離に応じて力が計算されます。この移動距離が大きいほど大きな力で反発するような性質となっています。

粉体シミュレーションでの接線方向の静的な接触力は粒子の接触点の移動距離に応じて力が計算されます。

動的な接線方向接触力

接線方向の接触力の中でも動的な成分については法線方向の考え方とほぼ同様で、粒子の速度差に応じて力が計算されます。速度差が大きいほど粒子に対して大きな力がはたらくような性質となっています。ただし、考慮する速度の方向が異なっています。法線方向の動的接触力と接線方向の動的接触力それぞれにおいて力の方向の速度を基に計算を行っています。

粉体シミュレーションでの接線方向の動的な接触力は粒子の接戦方向の速度差に応じて力が計算されます。

まとめ

粉体シミュレーションので計算される粒子同士の接触力はまず力の方向(法線方向・接線方向)に分けられます。
各力の方向で動的な接触力と静的な接触力がございます。

実際に粉体シミュレーションソフトを操作して解析を行う際にはソフト側で粉体粒子同士の接触の判定や接触力を自動計算してくれます。

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【ちょこっとメモ:滑りが生じるときの接線方向接触力】

今回の紹介の中では接線接触力を考慮する中で、粒子同士がこすれるような【滑り】状態は考えていませんでした。もし滑りを考慮する場合はどのような方法で接線方向接触力を計算するのでしょうか?

滑りが生じている場合、粒子間の摩擦力を接線方向接触力として計算します。つまり、すべりが生じる前後で用いている式が変化するということです。滑り前後では現象としても異なっているので挙動を表現する式が変わっているという自然な考え方だと思います。

粉体シミュレーションで粒子同士の滑りが生じる時の接線方向の接触力はこのような式で計算されます。

DEM(離散要素法)を用いた粉のシミュレーション

粉のシミュレーションは粒子一つ一つの集団運動を解くということ

【はじめに:DEMとは?】

近年、様々な分野でシミュレーションが行われることが増えてきました。 その中で、本シリーズでは粉のシミュレーションについて詳しく紹介していきたいと思います。

粉のシミュレーション方法の中で、離散要素法【discrete element method:DEM】は世界的に広く用いられている手法の一つです。 DEMの考え方はとてもシンプルで、粒子一粒の動きを模擬することでその集合体である粉全体の挙動を表現するというものです。したがって、計算は粒子一つひとつの動きに対して行われています。

粉体シミュレーションでは粒子一つ一つの集団運動を計算します。

ということで、今回はDEMで考慮されている一つの粒子の動きに焦点を当てて解説していきたいと思います。

【粉の動き】

粉の動きは「並進運動」と「回転運動」の2つに分けられます。 反対に、粉の動きはこの2つの運動の組み合わせのみであらわすことができます。

粉体シミュレーションでは粉体を構成する一粒一粒に対して並進運動と回転運動を解きます。

並進運動

並進運動は以下のような形であらわされます。

粉体シミュレーションで計算する1粒子に対する並進運動の式は高校で習った運動方程式です。

はたらく力(力の項の内容)は「重力」、粉同士の「接触力」、「付着力」、流体を考慮する時は「流体抗力」等の様々な力を考慮しますが、扱う力の種類が増えた場合でも右辺に足しあわされるのみで、式の形が大きく変化するわけではありません。

回転運動

回転運動は以下のような形であらわされます。

粉体シミュレーションで計算する1粒子に対する回転運動の式は回転運動方程式です。

はたらく力は「接触トルク」や「回転抵抗トルク」等を考慮しますが、並進運動と同様に右辺に足しあわされる形で表現し、式の形は大きく変化しません。

【ちょこっとメモ:本当に並進運動と回転運動だけ?】

実際の粉体プロセスの中では粉体の「変形」も含まれます。圧粉プロセスや粉砕プロセスで必要となる粒子の動きとなりますが、DEMにおいては粒子が変形しない「剛体粒子」が仮定されているため、並進と回転のみを考慮するものとなっています。

実際の現象では粉体1粒子の変形や分割がありますが、粉体シミュレーションでは1粒子が変形しない剛体粒子が仮定されています。

一方で最近の粉体シミュレーションではBonded Particle Model(BPM)という手法を用いると1粒子の変形や分割を考えることができるようになってまいりました。

Bonded Particle Modelとは主に岩石やコンクリートなどの脆性材料(もろい材料)の力学的挙動をシミュレーションするために用いられる手法です。離散要素法(DEM: Discrete Element Method)の一種で、微小な粒子同士を「接着(Bond)」させることで、一つの固体を表現します。

この手法は実挙動を再現するうえで非常に強力な手法ではありますが、粉体の1粒子を表現するために複数粒子を用いるこの手法では粒子数が膨大になり、計算コストが非常に高くなってしまいます。このように、微細な変形まで追おうとすると膨大な計算時間が必要になりますが、多くの産業プロセスにおいて重要なのは、「粉体全体の流れや、実用的な時間内でのシミュレーション結果」ではないでしょうか。

弊社構造計画研究所では「現場のエンジニアが、実用的な時間で、精度の高い解析結果を得ること」を重視し、粉体シミュレーションソフトiGRAFを開発・販売しております。

とはいえ、研究開発の内容によっては「どうしても一粒子の破砕挙動を詳細に見たい」「BPMを用いた特殊な解析が必要だ」というケースもあるかと思います。

そのような高度なシミュレーションが必要な場合も、ぜひ弊社にご相談ください。iGRAFの標準機能には含まれていませんが、弊社内でのカスタマイズ開発や、専門のコンサルタントによる受託解析サービスを通じて、BPMを用いた詳細なシミュレーションを実施することも可能です。

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粉体の密度とは何を指す?1次物性の粒子と2次物性の粉体の密度について

粉体の密度について

粒子径と同様に密度も粉体の特徴を決定する重要な物性値となります。密度とは、ご存知の通り、単位体積当たりの質量で定義されます。ただし、粉体の場合には、単に密度と言っても一意に定義することができません。粉体には、大きく分けて2種類の密度があり、1次物性である「粒子の密度」と2次物性である「粉体(粒子の集合体)の密度」です。

粒子の密度

粒子の密度とは、各粒子の質量を各粒子の体積で除算して求められる密度のことです。ただし、粒子には、表面に凹凸があるものや、内部に空孔を含むものが存在するため、粒子体積の定義によって粒子の密度は3種類に分類されます。

真密度

内部の空孔も取り除いて、粒子を形成する物質のみの体積から求めた粒子の密度のことを「真密度」と言います。他の成分が含まれていない純粋な粒子の密度のことになります。測定する際には、内部に空孔が存在しなくなるまで細かく粉砕する必要があります。

粒子密度

粒子密度とは、内部の空孔も粒子の体積として含めて求めた粒子の密度のことです。実際の粒子の体積に比べて内部の空孔分だけ体積を大きく評価するため、真密度に比べて粒子密度は小さい値となります。

見かけ粒子密度

内部の空孔および粒子表面の細孔も粒子の体積として含めた粒子の密度のことです。粒子密度で求めた体積よりも表面の細孔分だけ大きく評価されるため、粒子密度よりも見かけ粒子密度は小さい値となります。

粒子の密度には親密度と粒子密度、見かけ粒子密度があります。

粉体の密度

 粉体の密度は、容積が分かっている容器に粉体を充填して、充填された粉体の質量により求められる密度のことで、「かさ密度」と呼ばれます。かさ密度は、充填された粉体間には多くの隙間が存在しているため、粒子の密度に比べて小さい値になります。また、充填方法によって「ゆるみかさ密度」と「かためかさ密度」の2種類に分けて測定されます。

ゆるみ(ゆるめ)かさ密度

容器内へ粉体を静かに充填した状態で計測したかさ密度を「ゆるみ(ゆるめ)かさ密度」と言います。静かに充填された粉体間には、多くの隙間が存在している状態となります。

固めかさ(タップ)密度

粉体が静かに充填された容器に一定の振動を与えることで粉体間の隙間を埋めて、再充填した後に測定したかさ密度を「かためかさ(タップ)密度」と言います。粉体間の隙間は、粒子形状による幾何的な要因や、付着力などの表面特性による要因により発生します。

圧縮度

圧縮度とは、固めかさ密度とゆるみかさ密度の変化の割合で定義される粉体の特性を表す二次物性です。圧縮度が高いと流動性が悪く、圧縮度が低いと流動性がよい状態を表します。

粉体の密度は、「かさ密度」と呼ばれます。かさ密度は、充填方法によって「ゆるみかさ密度」と「かためかさ密度」の2種類に分けて測定されます。

粉体シミュレーションで扱う粉体密度

ここまで、さまざまな粉体物性について解説してまいりました。実際に粉体シミュレーションを行う際、物性値として一般的に用いられるのは粒子の「真密度」です。では、現実の粉体物性をどのようにシミュレーションへ落とし込むのでしょうか。その基本的な流れは以下の通りです。

まずは物理量の確定です。実験で使用する粉体の「全質量」と、1粒子あたりの「粒子径」を決定します。
※粒子径には、粒度分布の代表値であるD50(メディアン径)を採用するのが一般的です。

その次に粒子数の算出を行います。全質量、真密度、および粒子径から、解析空間内に配置すべき「粒子の個数」を算出します。この粒子の真密度、粒子径、粒子数が決まることで、粉体シミュレーションが可能になります。

こうした複雑な計算や物性設定をスムーズに行い、粉体の挙動を現場で手早く可視化するのが、弊社構造計画研究所で開発・販売している粉体シミュレーションソフト「iGRAF」です。

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